PanOptix Pro が日本で承認されました
- 隆司 小島
- 3 日前
- 読了時間: 3分
2025年12月、日本で新たに承認された多焦点眼内レンズ PanOptix Pro(パンオプティクス プロ)。この名前を聞いて、「ああ、あのPanOptixの新しいバージョンか」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。
PanOptixは、これまで世界中で非常に多く使われてきた3焦点眼内レンズです。遠く・中間・近くという、日常生活でよく使う距離をバランスよくカバーする設計は、発売当初から高く評価されてきました。一方で、近年は個性の強い新しいレンズも次々に登場し、「PanOptixは少し前の世代のレンズ」という印象を持たれていた方もいるかもしれません。
そんな中で登場したのが、今回の PanOptix Pro です。名前に「Pro」が付いたことで、何か大きく変わったのではないか、あるいは名前だけが新しくなったのではないか——そう感じた方も多いと思います。実は私自身も、最初はそうした視点でこのレンズを見ていました。
ところが、詳しく見ていくと、このアップデートは決して派手ではないものの、患者さんの体感に直結しやすい、非常に“眼科らしい進化”だと感じる内容でした。
見た目が変わったわけではありません。焦点の数が増えたわけでもありません。それでも、「光の使い方」が洗練されたことで、これまで少し気になりやすかった部分が、静かに、しかし確実に改善されている——そんな印象です。
特に印象的だったのは、夜間や暗い場所、あるいは「ちょうどこの距離」という言葉にしづらい場面での見え方に関わる部分です。日常生活の中で、意識はしないけれど、確実に使っている距離。その“谷間”にあたる領域が、よりなだらかになったという点は、数字以上に意味のある変化だと感じています。
とはいえ、これらを文章だけで説明しようとすると、どうしても専門的になりすぎてしまいます。そこで今回は、目玉ちゃんとのやり取りという形で、できるだけ生活のイメージに近づけながら解説する動画を作りました。
動画の中では、PanOptixがもともとどのような考え方で作られていたレンズなのか、そして今回の「Pro」で何が変わり、何が変わっていないのか、そのあたりを一つずつ整理してお話ししています。
最近は、多焦点眼内レンズの選択肢が本当に増えました。情報が多いことは良いことですが、その分「結局どれを選べばいいのか分からない」という声も、以前より多く聞くようになった気がします。
名古屋アイクリニックでは、こうした迷いに対して、一つのレンズを勧めるのではなく、患者さんごとに最適な選択肢を一緒に考えることを大切にしています。目の状態はもちろん、生活スタイルや仕事、日常で困っている場面などを丁寧に伺いながら、個別カウンセリングを通して眼内レンズ選びをサポートしています。
だからこそ、「新しいから良い」「有名だから安心」という判断ではなく、自分にとって本当に必要な見え方は何か、どこを優先したいのかを整理した上で、レンズを選んでいただきたいと考えています。
今回ご紹介している PanOptix Pro も、すべての方に合うレンズではありません。それは、どの眼内レンズにも言えることです。ただ、選択肢のひとつとして正しく理解しておくことは、後悔しないレンズ選びにつながります。
ご興味のある方は、ぜひ動画をご覧ください。文章では伝えきれない部分を、目玉ちゃんとの会話の中でお話ししています。


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