その他の治療
翼状片・結膜弛緩症・角膜変性症・結膜母斑・結膜腫瘍の治療など
翼状片治療
翼状片は加齢とともに増える病気の一つで、下の図のように角膜(黒目)に白目の部分の結膜が進入する病気です。原因は紫外線の影響が強く、日本でも南方の紫外線が強い場所ほど多く、また漁業や農業に従事される方にも多いです。また学校の体育の先生だったり、建設関係の方の手術も多いように思います。
症状は充血、異物感、視力の低下です。この膜が完全に瞳を覆ってしまうと、全く見えなくなりますが、その前に角膜(黒目の部分)が膜によって引っ張られ歪むことで見づらくなります。
小さいうちは様子を見ていくことで問題ないと思いますが、徐々に大きくなり、角膜の中心までの距離の1/3以上になってくると、手術を考えた方がいいです。
翼状片の手術は以前から行われていましたが、非常に再発しやすい病気で、単純切除と言って切っただけの手術では、かなりのの確率で再発します。
私は、基本的に初回の手術の方は、切除に加えて遊離弁移植と言って、切除した部分に小さく瞼に隠れる部分の白目の膜を一部移植する方法で行なっています。
この方法が優れているのは再発が少ないことと術後の見た目がきれいなことです。
以前に学会でも報告していますが、98%程度の成功率です。再発された方の紹介患者さんも多く手術させていただいていますが、羊膜移植も組み合わせ、場合によっては角膜移植を併用することもあります。
一旦再発すると、非常に大変になってきますので、初回の手術が非常に大切です。
手術は、できるだけきれいに仕上げること、再発ゼロを目指して行なっています。
日常生活での予防方法としては、やはり紫外線によく当たる職業の方はサングラスなどで紫外線をカットしたほうがいいと思います。これは翼状片だけでなく白内障の予防にも繋がります。
角膜混濁治療
(レーザー治療的角膜切除術:PTK)
角膜混濁治療は大きく、レーザー治療と角膜移植に分けられます。
何が異なるかと言いいますと、浅い混濁に対してはレーザー治療が選択されますが、深くなると角膜移植が必要になります。
レーザー治療はレーザー治療的角膜切除術(PTK:ピーティーケー)と呼ばれる治療を行なっています。
治療の主な対象は、顆粒状角膜変性症と帯状角膜変性症です。PTKはエキシマレーザーを角膜表面に当てて、マイクロメーター単位で角膜表面を削る治療です。
かなり以前に開発されたPTK治療ですが、いくつか問題点がありました。
まず一つ目の問題点として、切除が多い時に特に遠視化してしまうことです。
基本的に角膜が中心も周辺部も同じ厚みで切除できれば、度数が変わることはないのですが、レーザーの特性として中心部の方がより多く削れるために、度数が変わってしまいかえって見づらくなることがありました。
もう一つの欠点として、混濁と透明な部分が角膜に混在している時(顆粒状角膜変性症など)には、混濁部分は硬いので、同じようにレーザーを当てると硬い部分は残り、透明な部分がより削られ、最終的に角膜の表面に凸凹が残ることがあります。この凸凹がひどいと術後にハードコンタクトレンズじゃないと視力が出なくなるような状況になることもあります。
我々のところでは、このようなPTKの問題点を改善した、新しいレーザー治療を行なっています。
名古屋アイクリニックの中村友昭先生が開発された方法で、
PTRK(Phototherapeutic refractive keratectomy)と呼んでいます。
眼科の海外ジャーナルにも報告しています(Nakamura T, Kataoka T, Kojima T, Yoshida Y, Sugiyama Y. Refractive Outcomes After Phototherapeutic Refractive Keratectomy for Granular Corneal Dystrophy. Cornea. 2018 May;37(5):548-553.)。
この方法ですが、簡単に説明しますと、希釈したヒアルロン酸をマスクとして使いながらレーザーを当てることで角膜が凸凹になるのを防ぎ、遠視や乱視などもPRKというレーザーの照射方式を用いて一緒に矯正し、術後できるだけ視力を改善させることを目的としています。
また、もともと角膜形状が不正な場合は、TOSCA(Topography Supported Custom Ablation、トスカと呼びます)といって、角膜形状データをレーザーに読み込ませて、角膜の不整も一緒に整えることも可能です。
結膜弛緩症治療
あまり聞き慣れない病気かもしれませんが、翼状片などとともに加齢とともに非常に多くなる病気です。
結膜は眼球の白目の部分に薄く張っていますが、年齢とともに結膜が弛緩し、眼球は大きさが変わらないので、結果的に結膜が余って眼球からはみ出すようになります。
はみ出した結膜が瞬きとともに擦れるために異物感が生じたり、はみ出した結膜が引っ張られることで結膜下出血を頻繁に起こすようになります。
また余った結膜が涙の鼻への排出を妨げるため、涙があふれる(流涙症といいます)こともあります。
治療は、初期には摩擦を減らすような点眼(ムコスタ点眼液)を使用します。
それでも改善しない場合は手術で治療します。
手術は余った部分の結膜を切除し、非常に細い糸で縫い合わせます。
焼灼して結膜を短縮する手術もありますが、再発が多いため、しっかり治したい場合は切除が有効です。
眼表面の腫瘍、母斑治療
眼表面は悪性腫瘍は少ないですが、良性のできものは様々なものがあります。
よくあるのは結膜嚢種と言い、白目の下に水や粘液が溜まって白目がブヨブヨとした感じで膨らんでしまう病気があります。
どうしても眼の表面から飛び出しているので、ゴロゴロしたり涙が溢れたりします。
症状が気になる場合は手術で取り除くことが可能です。
もうひとつのよくある病気は、瞼裂斑です。
これは年齢とともに誰でも出来てくるものですが、紫外線などが関係していると言われています。
大きくなると、この場合も眼の表面から突出し炎症を起こしたりゴロゴロ異物感を感じたりします。
点眼で症状が治まらない場合は手術で治療するが多いです。
最後に、母斑についてお話しします。
母斑は白目のほくろです。茶色の色素沈着のために美容的に気になることが多いものです。
生まれつきの場合、年齢とともにできたものに分けられ、生まれつきのものは、ほとんどがレーザー治療できれいに治ります。
年齢とともにできたものは、悪性腫瘍が疑われる場合は手術、それ以外はレーザー治療で治療します。
眼瞼下垂治療
加齢やハードコンタクトレンズの長期装用など様々な原因で眼瞼下垂になることがあります。
眼科では基本的に瞼が下がって瞳にかかるような場合は手術の適応と考えています。
名古屋アイクリニックではCO2レーザーを用いて、手術を行っています。CO2レーザーを使うことのメリットは、手術中にほとんど出血しないため、手術後の腫れが最小限に抑えられる点です。
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