​屈折矯正手術

​安全を第一に考え、患者さんに最適な治療法を提案します。手術をしない事もひとつの選択肢です。

 
基本的な考え

屈折矯正手術とは、近視、遠視、乱視などを手術で矯正する手術で、術後は眼鏡やコンタクトレンズ無しで裸眼で過ごせることを目的として行う事がほとんどです。

この手術の基本的な考えとして大切なのは、健康な眼に対して行う治療であるという点です。このため、大きな合併症に繋がるようなリスクをもっている場合は手術を行う事が出来ません。簡単に言ってしまうと、安全第一という考え方です。実際に私の所を受診される患者さんでも2〜3割程度は手術が適さないと判断し手術をお断りすることがあります。

私自身、10年以上前にレーシックを受けて、屈折矯正手術のありがたさを非常に感じていて、同じような素晴らしい経験を患者さんにも届けたいと思っています。しかし、その一方日本でレーシックが非常に悪い手術であるかのような印象が根づいてしまっているのはとても残念に思っています。このような状況になってしまった大きな原因は、前述したような安全性を考えた手術が行われていなかったことや、患者さんに起こりうるリスクなどをしっかり説明していなかったことが原因と思われます。

レーシック全盛期は手術の料金が価格サイトのようなイメージで比較されたり、視力2.0出ることがベストであるかのような間違った情報が満ちあふれていました。私はこのような歴史を踏まえ、なるべく詳しい情報を患者さんに分かりやすく説明し、患者さん毎に最適な屈折矯正手術方法を提案します。そして、手術をしないことも常に選択肢として提示するようにしています。

 
​レーシック(LASIK)

レーシックは、現在でも屈折矯正手術の標準的な治療方法で、世界で最も多く行われています。利点は視力回復の早さで、殆どの方が術後翌日には1.0以上の裸眼視力が獲得できます。長期の安全性も証明されています。欠点はあまり強い近視には対応出来ないこと、角膜にフラップという蓋のような切開をするために、ドライアイになりやすい事です。この為、術前からドライアイが強いような方は、この後説明するスマイル手術がお勧めです。私自身、かなり以前にレーシックを受けており、レーシック後15年の思いを動画にしていますので、これから手術を考えられている方は参考になると思いますので、よろしければ以下からご視聴ください。

レーシック手術の流れ
 
SMILE (スマイル)

フェムトセカンドレーザーが開発されて、初めて可能になった手術です。よくレーシックと比較されることが多いですが、レーシックと比較したメリットは、フラップを作らないので外傷に強いこと、ドライアイになりにくいことで、これらは多くの研究で証明されています。デメリットは視力回復が少し遅い点です。おおよそのイメージとしましては、術後1週で約0.7から1.0程度の裸眼視力で、2週目に入って1.0以上の最高視力が出ることが多いです。スマイル手術はレーシック手術よりも手術そのものが難しく、より繊細なテクニックを要する手術です。

現在、特定のレーザーでしか手術が出来ないために日本では手術施設が限られていますが、手術を行っている眼科医でSMILE研究会をつくり、SMILEの正しい普及と情報発信を目的に活動しています。

SMILE手術についての解説動画

 
​ICL(有水晶体眼内レンズ、フェイキック)

この前で説明したレーシックやスマイル手術が角膜で行う手術であるのに対して、ICLは眼内にコンタクトレンズのような薄いレンズを入れることにより、近視や乱視を矯正する手術です。このような手術を総称してフェイキックIOL手術とも言います。角膜で行う手術は角膜を一部切除し、角膜のカーブを変化させ矯正を行いますが、ICLの場合はレンズで行う為、組織を切除してしまうことはなく、基本的に可逆性の手術と言えます。すなわち、術後にレンズを取り出せば元の状態に戻すことが可能という点がメリットです。また強い近視や乱視にも対応出来るのが特徴です。デメリットは、我々の調べたアンケート調査では術後にハローと言ってライトの周りに輪がかかって見える症状を7割程度の患者さんで感じます。ただ生活に支障が出るほどと言われることはほとんど経験はありません。

ICL手術は以前勤務していた名古屋市中京病院で臨床治験を行った時期から関わっており、現在エキスパートインストラクターとして、新しくICL手術を覚えたい全国の眼科医の先生のところに指導を行っています。

 ICL手術の流れ 

​点眼麻酔

ICLを眼内に挿入

ICLを虹彩の裏側に固定

 
PRK, LASEK(ピーアールケー、ラゼック)

PRK、LASEK(ピーアールケー、ラゼック)という手術は、レーシックで角膜を削る際に使用するエキシマレーザーをフラップを作成せず直接あてる手術方法です。最近では行う事は多くはありませんが、顆粒状角膜変性など角膜の濁りと一緒に乱視や近視も矯正したい場合などに用いることがあります。また角膜表面の皮が弱い方、格闘技をされる方には向く手術方法です。

 
​その他屈折矯正手術(眼内レンズ、アドオンIOLなど)

​白内障を合併されている場合は、白内障手術の際に使用する眼内レンズで屈折矯正が可能です。乱視や老眼も眼内レンズを使用する事である程度矯正ができます。

白内障術後何年も経過してから、度数を変更したい、多焦点眼内レンズにしたいという希望の方が時々いらっしゃいます。アドオンIOLはこれまで入っている眼内レンズ(IOL)の上にもう一枚重ねて、度数を変更したり、多焦点の機能を持たせたりすることが可能です。

 アドオン眼内レンズ 

エビデンスに基づいた近視矯正手術の選び方

近視矯正手術は上述したように、いくつかの術式があります。

近視矯正手術はレーシックやスマイルのような角膜手術と眼内にレンズを入れるICL手術に大きく分けられます。ネット情報を見ると、それぞれの手術が一番であるかのように書いてあることが多いですが、実際はそれぞれの手術には守備範囲というものがあります。近視の度数で言いますと、中等度の近視(-6Dまで)の場合は、基本的に角膜手術、ICL手術では大きく差はありません。-6Dを超える強度近視になってくると、ICL手術が術後視力において優れるようになってきます。乱視は中等度乱視(1.25~2.75D)はICLよりレーシック、3Dを超える強度乱視ではICL手術が優れることが分かっています。

角膜の状態によっても向く手術、向かない手術があります。角膜の形が上下非対称であったり、薄い場合は角膜手術は向きません。また術前のドライアイもとても重要なポイントになります。術前ドライアイでコンタクトレンズが出来ず、悩んで近視矯正手術を検討される方は結構あります。そのような場合は、レーシックよりもスマイルやICL手術が向くと思います。

下の動画は、エビデンスに基づいて近視矯正手術をどのように選ぶかというテーマで、目玉ちゃんと詳しく解説しています。どの手術で受けるか悩まれている患者さんの一助になればと思います。