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角膜クロスリンキングに対する、よくある質問に対してお答えします。

最近、円錐角膜の治療である角膜クロスリンキングに対する認知度が高まってきているのを感じますが、それとともに誤った情報をもたれている患者さんや医療関係者も多いので、ここでよくある代表質問を4つ答えておきたいと思います。

質問1: 円錐角膜の場合は、すぐに角膜クロスリンキングを受けないといけないでしょうか?

回答1: 角膜クロスリンキングは円錐角膜の進行を止めるための治療です。このため、全ての円錐角膜患者さんが適応になるわけではありません。円錐角膜が進行している、もしくは進行リスクが高い場合に適応になります。円錐角膜が進行しているかどうかの判断は通常2年という期間で考えることが一般的です。最近では近隣の眼科の先生から詳しい角膜のカーブのデータを頂くことがあり、それをみれば進行の判定は容易ですが、症状からもある程度判断がつきます。例えば、1年前は眼鏡で見えていたのが、今では眼鏡をどう合わせても視力が出ない→進行例。3年前からはほとんど、見え方も変わらない→非進行例の可能性が高いです。

質問2: 角膜クロスリンキングを行うと角膜が硬くなるそうですが、角膜が硬くなって、今後困ることや受けられなくなる手術はありますか?

回答2: 角膜クロスリンキングを行うと角膜は硬くなって変形しにくくなります。患者さんに聞くと、プラスチックのように固くなるようなイメージを持たれている方がありますが、実際は変形しやすくもろい角膜が、正常に近い程度に硬くなるだけで、それ以上固くなることはありません。やはり新しい治療だと将来的な事が心配、特に若い方を対象にする手術ですので、長期的な事が心配になる気持ちはよく分かります。ただ、これまでに15年以上の歴史のある角膜クロスリンキングですが、将来的に硬くしたことで困るようなことは生じておりません。

質問3: 1年ほど前から、徐々に見づらくなって、最近円錐角膜と診断されました。あと1年、2年経過すると、さらに進行するのでしょうか?その時に角膜クロスリンキングを考えてもいいでしょうか。

回答3: 円錐角膜の進行予測は難しく、1年、2年後の状態は分からないとしか言えません。ただし、円錐角膜が重症になっていればいるほど悪くなる確率は高くなります。もう1年様子みてさらに悪化した場合に、角膜クロスリンキングをしてもいいと思います。ただし、角膜クロスリンキングは基本的に少し角膜は平坦化するものの、その状態で角膜を硬くして進行を止めるだけですので、悪くなったものが自分で明確に分かるほど元に戻ることは残念ながらありません。このため、過去2年以内で進行が明らかであれば、現時点で早めに角膜クロスリンキングを受けることはメリットが大きいと思います。

質問4:角膜クロスリンキング治療は一度行えば、一生もう大丈夫でしょうか?

回答4:角膜クロスリンキングの成功率は高く、日本で行われた研究でも9割程度の方の円錐角膜の進行を止めることが可能です。しかし、裏を返せば1割程度は進行してしまうということです。術後も進行しやすい方は、若い方(10代)、円錐角膜が重症の方です。このため、角膜クロスリンキング手術を受けられても、必ず定期的な検診を受けられることをお勧めします。




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