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【追跡10年】ICLは劣化するのか― 長期データから見えてきた本当の経過 ―

  • 2 日前
  • 読了時間: 3分

「ICLは手術直後はよく見えると聞きますが、10年後も本当に大丈夫なのでしょうか?」


この質問は、外来でも、そしてYouTubeのコメント欄でも、非常によくいただきます。

ICLについては、「よく見える」「満足度が高い」といった短期成績は広く知られています。しかし実際のところ、10年という長い時間が経過したときにどうなっているのかについては、あまり詳しく語られてきませんでした。


今回は、私たちが実際に解析した術後10年経過ICLのデータをもとに、長期経過の実際についてお話ししたいと思います。

まず、多くの方が心配されるのは「レンズそのものの劣化」です。

コンタクトレンズのように汚れたり、傷んだり、変形したりするのではないかと不安に思われる方もいらっしゃいます。

私たちは、術後10年経過して摘出されたICLを詳細に解析し、その結果を海外の学術誌に報告しました。


結論から申し上げます。

10年経過しても、ICLはほとんど新品と変わらない状態でした。

サイズは新品と同一で、縮んだり変形したりしていませんでした。電子顕微鏡で観察しても付着物はほとんど認められず、光学特性の試験でも新品と区別がつかないレベルでした。

10年という時間を経ても、レンズ自体の安定性は極めて高いことが確認されました。我々はICLの素材であるコラマーが、この長期安定性に関与している可能性は高いと考えています。


では、術後に裸眼視力1.5だった方は、10年後も1.5のままなのでしょうか。

実は、必ずしもそうとは限りません。

長期データを見ると、術後1年間は安定していますが、3年、5年、10年と経過する中で、平均値としてわずかに裸眼視力が低下する傾向が見られました。

ここで大切なのは、ICLが変化しているのではないという点です。

視力変化の主な原因は、近視の進行です。

私たちの研究では、もともと−6D以上の強度近視の方は、ICL手術後も近視が進行しやすい傾向があることが分かりました。

ただし、すべての方が悪化するわけではありません。大きく視力が低下してレンズ交換が必要になるケースは稀で、多くの方はそのまま経過観察で問題なく過ごされています。


ここで考えなければならないのは、10年という時間の意味です。

ICLを30代で受けた方は、10年後には40代になります。40代半ばになると、誰しも老眼を感じ始めます。完全に遠方視力を維持することが必ずしも最善とは限らず、わずかに近視が残ることが近方視にとって有利に働く場合もあります。

長期経過を考える際には、レンズの変化だけでなく、年齢による眼の変化も含めて考える必要があります。

さらに重要なのは、強度近視そのものが持つ将来的リスクです。

強度近視の方は、緑内障、白内障、網膜剥離などのリスクが高くなることが知られています。

しかし、これらは早期発見すれば治療可能な疾患です。

私たちの施設では、術後1年検診の終了時に将来的なリスクについて説明し、特に強度近視の方には40歳以降の定期検診を強くお勧めしています。


ICL手術はゴールではありません。

近視をその時点で矯正する治療であり、加齢変化を止めるものではありません。

だからこそ、長期にわたりフォローできる体制があるかどうかが重要です。

手術そのものだけでなく、その後も安心して相談できる環境を選ぶことが、10年後の安心につながります。


10年という時間は決して短くありません。

その時間を経てもレンズは安定している。しかし、人の眼は年齢とともに変化していく。

この両方を理解したうえでICLを考えることが、とても大切だと思います。

今回の内容が、ICLを検討されている方にとって、長期的な視点で判断する一助となれば幸いです。



 
 
 

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